不動産 用語集
インデックス
か行
買換え特約
規物件の購入契約を締結すると、手持ち物件を売却できないと非常に困ることになる。そこで、そのような事態に備えるためには、購入契約に「○月○日までに○○万円以上で手持ち物件を売却できなかったときは、本契約を白紙解除できる」旨の特約をつける必要がある。この特約を買換え特約という。
解除条件
将来不確定な事実が発生することによって、契約等法律行為の効果が消滅する場合の、不確定な事実をいう(民法127条2項)。反対に、契約等の効果の発生が不確定な事実にかかっている場合を停止条件という(同法127条1項)。売買契約を締結し、転勤になったらこの契約を失効させるという条項を入れるような場合、解除条件付売買契約という。条件を付けるかどうかは当事者の自由であるが、婚姻、養子縁組、相続の承認、放棄、手形の裏書(手形法12条1項参照)などについては、不安定な法律関係を続けることは相当でないから条件は付けられない。相殺も、相手方を不安定にするから同様である(民法506条参照)。
買付証明書
購入希望者が所有者、又は所有者となる予定の第三者を名宛人として発行する購入の可能性を表明する文書である。発行人の購入意思を推定するに足る価格・時期・物件の範囲等を表示し記名押印を行う。しかし、購入希望者の確定的意思表示ではないので、これにより購入の義務までを負うものではない。不動産業界でも、発行人は随時これを撤回・取消し・否認できるものとして取り扱っている。発行人は所有者及ぴ所有者となる予定のある名宛人に発行した買付証明書が、第三者に流通しても直接の責任を負わない。媒介業者はこれをもって発行人の購入意思の説明に使うことができる。
売渡承諾書
開発許可
開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(政令指定都市、中核市、特例市にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。ただし、原則として、市街化区域においては1,000未満、区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域においては3,000未満、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内においては1へクタール未満の開発行為についでは許可が不要とされている。また、市街化区域以外の区域内における農林漁業のための建築物の用に供する目的で行う開発行為のほか、社会福祉施設や医療施設等の公益的建築物の用に供する目的で行う開発行為、国や都道府県等の行う開発行為、都市計画事業の施行として行う開発行為等も許可が不要とされている。 許可が必要とされた開発行為には、宅地に一定の水準を保たせようとするため道路や公園等の公共空地の確保、給排水施設の配置、防災措置等に関する技術基準(都計法33条)が適用される。ただし、市街化調整区域における開発行為に限り、技術基準に加え、市街化調整区域において許可を受けることができる開発行為を限定する立地基準が適用され、他の区域よりも厳しい規制を受けることとなる。
買戻しの特約
不動産‐の売買契約と同時に、一定期間経過後売主が代金と契約の費用を返還して不動産を取り戻すことができることを内容とする契約解除の特約をいう(民法579条)。特別の合意のない限り、買戻期間中の不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなされる(同法579条ただし書)。買戻しの期間は10年を超えることができず、10年を超える期間を定めたときは、その期間は10年とされ、その期間の更新は認められない。また、期間の定めをしなかったときはその期間は5年とされる(同法580条)。買戻しの特約の登記は、買主の権利取得の登記に附記して登記することとされており(不動産登記法59条の2)、この登記をしておけば第三者にも対抗できる(民法581条)。買戻しの特約は担保の一方法であるが、公的事業主が分譲した住宅・宅地等においては、転売防止などを担保するために利用される。再売買の予約は登記をせず、動産もその対象とされ、また再売買代金にも制限がない点で買戻しと異なる。
解約
当事者の一方の意思表示により、賃貸借、雇用、委任、組合などの継続的契約関係を消滅させることをいう。契約の解除(民法5婁5条1項等)の場合、その効力が過去に遡るのに対して、解約は将来に向かってのみ消滅の効力が生ずる(民法620条等)とされている。しかし、実務上は解約と解除が混同して使用されており、その区別は明確ではない。
解約手付
いったん締結した売買契約を、後に解除しうることとして授受される手付をいう。一般にその金額についての制限などはないが、宅建業者が宅地建物の売主の場合には、20%を超えることはできない(宅建業法39条)。解約手付が授受されると、買主からはそれを放棄すれば、また売主からはその倍額を返しさえすれば、契約を解除することができる(民法557条1項)。ただし、相手が契約で定められたことを始めるなど履行に着手すると、手付解除は認められない。解除の方法などは一般の場合と同様であるが、手付額、又は倍額のほかに損害賠償を請求することはできない(同法557条2項)。手付には、このほか証約手付、違約手付がある。
価格査定
宅建業者が売却の媒介依頼を受けた不動産に関し、専門家の立場から依頼者へ助言する合理的希望価格の形成のための成約見込価格を調査・算出することをいう。業者は売買すべき価額について依頼者に意見を述べるときは必ず一定の標準的手法に従い、選択した取引事例を根拠として明示し、依頼を受けた不動産と比較検討して、客観性ある実際的な成約見込価格によらなければならない。この手法が価格査定マニュアルである。これに要する費用は媒介の成功報酬に含まれる(宅建業法34条の2第2項)。
価格査定マニュアル
宅建業者は、媒介の対象となる不動産の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない(宅建業法34条の2第2項)。この意見の根拠として一般に活用されているのが、(公財)不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアルである。このマニュアルには土地価格査定マニュアル、戸建住宅価格査定マニュアル及び中古マンション価格査定マニュアルがあり、立地、環境、築後年数、仕上げ、間取り等の多くの評価項目によって査定することとなっている。これを用いることにより、業者によって意見価額が大きく異なったり、依頼者の不満を招く事態を防ぐことができる。
瑕疵担保責任
売買の目的物に隠れた瑕庇があったとき、売主が買主に対して負う責任をいう(民法570条)。「売主の担保責任の一形態である。瑕疵とは、建物にシロアリがついでいたとか、土地が都市計画街路に指定されていたことなどをいう。買主は、善意無過失である限り、契約時にわからなかった瑕疵のために損害を受けたときは、売主に対して賠償請求をすることができる。また瑕疵のため契約の目的を遂げることができない場合には、契約を解除することができる(同法570条において準用する566条1項)。ただしこれらは、買主が瑕疵を知ったときから1年内にしなけれぱならない(同法570条、570条において準用する566条3項)。また強制競売で物を買った(競落した)場合には、買主にこれらの権利は与えられない(同法570条ただし書)。
瑕疵担保特約についての特約制限
宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についでこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされている。買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年末満の期間とすることのほか、契約解除も損害賠償も認めず補修のみを行うとするもの、瑕疵の箇所によっては責任を負わないとするもの等があげられる。宅建業法は、このような買主に不利な特約を制限するとともに、これに反した特約は無効としている(宅建業法40条)。
瑕疵担保特約についての特約
住宅品質確保法に定められた民法の瑕疵担保責任規定の特例規定。新築住宅の請負契約の請負人は注文者に引き渡した時から10年間、新築住宅の売買契約の売主は買主に引き渡した時(請負契約に基づき請負人から売主に引渡された場合はその引渡しの時)から10年間、住宅のうち構造体カ上主要な部分又は雨水の混入を防止する部分として政令で定めるものについでの瑕疵についての担保責任を負うとする特例(住宅品質確保法87条1項、同法88条1項)であり、この特例に反する特約で注文者に不利なものは無効とされる。 請負契約の場合、その注文者には、修補講求、修補講求に代わる損害賠償請求、修補講求とともにする損害賠償請求が認められ、売買契約の場合、修補講求、修補講求に代わる損害賠償請求、修補講求とともにする損害賠償請求、契約の解除(契約の目的を達成することができない場合)が認められる。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)。
壁式工法
主として、低中居の共同住宅などの建築に用いられる構造形式のひとつ。 骨組構造のように柱や梁を使わないので、建物の内外に余分な突出部分がなく、空間を効率よく利用できる。また、力学的な安全性を確保するため、壁量、壁厚などに制限が設けられ、非常に堅固な建物となる。骨組構造に比較して経済的であるとして普及しているが、柱、梁がないため階数に限度があるとされ、高層建築には不向きといわれている。
仮差押え
金銭債権を保全するため、債務者の財産を確保し、将来の強制執行を確実なものにする目的で仮に差し押さえることをいう。これら債権の弁済を受けるためには、最終的には判決を得て強制執行に着手するのであるが、それまでの間に債務者が財産の隠匿、逃亡等をしないように、仮差押えをして財産等の処分禁止をしておく。債権者は、自己の債権と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮差押命令をもらい(民事保全法20条以下)、債務者の不動産、動産、債権等の仮差押執行をする(同法47条以下)。債務者は仮差押えされた財産を処分しても仮差押債権者には対抗することができない。
仮処分
物の引渡しを求めうる権利などについての強制執行を保全するため、その目的物についで保管人を置いたり、相手方に一定の行為を命じたりする仮の処分をいう。土地や家屋の引渡しの強制執行は、その物の占有者を相手方とする判決等により、その占有を排除して行われるが、判決等を得て執行するまでの間に、占有者が代わったり現状を変更されたりすると、その判決で執行することができなくなったり、著しく困難となったりするので、仮処分が利用される。債権者は自己の権利と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮処分命令をもらい(民事保全法23条以下)、仮処分の執行をしておく(同法52条以下)。命令に反した場合、仮処分債権者に対抗することができない。
仮登記
終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上又は手続法上の要件が完備していない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめなす登記をいう(不動産登記法2条)。後日要件が完備して本登記がなされれば、仮登記の順位が当該本登記の順位になるという順位保全効力を有する(同法7条2項)が、仮登記のままでは対抗力はない。このような仮登記の一時的・仮定的性格にかんがみ、実務上仮登記申請の際には登記済証、利害関係人の承諾書の添付は必要とされず、さらに法律上仮登記権利者が単独で、仮登記義務者の承諾書を添付してする方法(同法32条)や仮登記仮処分命令によってする方法(同条33条)等、仮登言己申請の特則が設けられている。
管理会社
ビル、マンションの維持運営は本来その所有者が行うことであるが、その内容は各種設備機器の保守点検や防火、衛生、警備等の資格技能を必要とする業務(作業管理)、管理費、賃料、付加使用料の請求取立てや諸費用査定支払等の業務(収支管理)、テナント募集選定や賃料共益費改定等の業務(契約管理)等、多分野にわたっている。 そのため、これらの業務の全部又は一部の業務(主として作業管理)を専門業者に委託することが多い。この専門業者を一般に管理会社と呼ぶ。なお、マンションの管理会社については、マンション管理適正化法で、マンション管理業者の登録制度を定めている。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
管理規約
区分所有建物の管理及びその使用についての区分所有者相互間で取り決めたルールである。区分所有法は、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」(区分所有法30条)とし、この制定及び改廃は、区分所有者及び議決権(専有部分の割合による)のそれぞれ4分の3以上の多数による集会の決議による。なお、この規約は、区分所有者全員にその効力が及ぶだけでなく、譲受人(特定承継人)にも及ぶ。
管理業務主任者
国土交通大臣が指定する者((社)高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者登録簿への登録を受け、国土交通大臣から管理業務主任者証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとす国土交通大臣が指定する者(・高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者音録簿への脊録を受け、国土交通大臣から管理業務主任考証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとする際の区分所有者等及び管理者等に対する重要事項説明、管理事務に関する報告等の事務を行う。マンション管理業者は、その事務所ごとに、当該管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合数を30で除したもの(1未満の端数がある場合は切り上げる。)以上の成年である専任の管理業務主任者を置かなければならない(同法56条1項、同法施行規則61条)。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律
管理組合
区分所有建物の建物全体の維持管理と、区分所有者間の権利義務を調整するため、区分所有者で構成される団体が管理組合である。区分所有法は、Γ区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」(区分所有法3条)と規定し、区分所有者は当然にこの団体の構成員となるとしている。
管理形態
マンション等の区分所有建物の維持管理についでは、通常、管理組合と管理会社との間に管理委託契約が結ばれ、その契約の内容に応じて管理形態が定められる。主な管理形態としては、次のようなものがある。(1)巡回管理:管理人を定期的(例えぱ週3回ゴミを出す日等)に巡回させて管理業務を行う形態、(2)住込管理:管理人が住み込打形態、(3)日勤管理:管理人を通勤させて業務を行う形態、(4)無人管理:管理人を置かずに、例えば、清掃をパートタイマーを雇用して処理する等の形態で、いわば自力管理である。管理形態により管理の内容、サービス、費用が異なるので、それぞれのマンションの規模、立地条件、設備等により適当なものを選定すべきである。
管理者
管理者とは、管理組合の業務執行機関である。管理組合が、法人格を取得して管理組合法人とならない限り、権利能力なき社団であるため、管理組合名で法律行為は行えない。したがって、法律行為を行うため、対外的には区分所有者を代理し、対内的には区分所有者と委任関係に立つ管理者が必要となる。区分所有法でも、管理者は、共用部分等を保存し、集会の決議を実行し規約で定めた行為をする権利義務、区分所有者を代理する権限を明らかにしている。管理者の選任及び解任についでは、規約に別段の定めがない限り集会の決議による。
期間付死亡時終了建物賃貸借
定期借家契約と終身建物賃貸借契約を組み合せ、いずれか早く到来した方を期限とする賃貸借契約で、高齢者居住法61条で定められた制度のこと。賃借人になろうとする高齢者から特に中出があった場合には、賃借人の終身に限定せずに、一定の賃貸借期間を定めて、その期間が満了するか、あるいは賃借人が死亡すれぱ、終了することとなる賃貸借契約。終身建物賃貸借の認可を受けた賃貸住宅の貸借人になろうとする者は、その賃貸人(認可事業者)に特に申出を行った場合に、借地借家法38条に規定する更新のない建物賃貸借(定期借家)であって、かつ、賃借人が死亡したとに終了するものとする契約を締結することができる。契約は公正証書等書面によることを要する。なお、賃借人が死亡した場合、当該認可住宅に同居していた配偶者等が一定の中出を行ったときは、従前と同一条件の期間付死亡時終了建物賃貸借契約を締結することができる。ただし、一定の期間内に、従前の期間付死亡時終了建物賃貸借において定められた期間が満了したとき等は、賃貸借契約は終了する(高齢者居住法65条)。終身建物賃貸借を媒介・代理する宅建業者は、対象物件に係る契約が期間付死亡時終了建物賃貸借契約である旨を、重要事項説明において説明しなけれぱならない(宅建業法施行規則16条の4の2)。
定期建物賃貸借(定期借家)
期間満了後の更新
借地及び借家契約期間が満了した後、従前通り契約を延長することをいう。賃貸人と賃借人との間で、合意により更新が行われるのが通例である。民法上の賃貸借契約については、賃借人が期間満了後に賃借物の使用・収益を継続し、賃貸人がそれを知りながら異議を述べないときは、前の契約と同一条件で、更に賃貸借をしたものと推定される(民法619条)。この後は期間の定めのない賃貸借となり、賃貸人、賃借人ともいつでも解約申入れをすることができる。借地における賃貸借では、借地借家法により借地人が保護されている。借地契約では、期間満了する場合、借地人が更新を請求するか、期間満了後土地又は建物の使用を継続すると、建物がある限り更新したものとみなされ、賃貸人は、自ら使用するなどの正当事由がなければ更新を拒絶できないものとし(更新拒絶等の正当事由)、更新拒絶ができる場合でも借地権者には建物買取請求権があたえられる(借地借家法5条、同法13条1項)。定期借地としては、更新のない定期借地権、事業用借地権や、あらかじめ期間満了時に建物を借地権設定者に譲渡する建物譲渡特約付借地権がある。建物賃貸借契約では、期間満了の1年から6カ月前までの間に、相手方に対して更新しない旨の通知をしなかったときは、従前と同一条件で契約更新したものとみなされる(同法26条1項)。定期借家としては、更新のない定期建物賃貸借がある。
建物買取請求権
期限付き建物賃貸借
平成4年改正の借地借家法で創設された制度であったが、平成11年改正(平成12年3月l日施行)後の借地借家法38条で、定期建物賃貸借という範疇に包含された。転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難な場合等を想定した制度であったため、サラリーマン等が転勤等で一時的に持家を貸す場合に利用された。
定期建物賃貸借(定期借家)
危険負担
建物の売買契約などの双務契約において、相互の債務が履行される前に一方の債務がその債務者の責めに帰することのできない事由により履行不能となって消滅した場合に、他方の債務が消滅するかの問題。例えぱ、契約後隣家の失火の類焼などによって建物が焼け、売主の引渡義務が履行できないようなとき、損害(危険)を当事者のいずれが負担するかの問題をいう。建物の引渡義務を負う売主(債務者)が代金を請求し得ないとするのが債務者主義、買主(債権者)は代金を支払わねぱならぬとするのが債権者主義という。民法の規定によれぱ、不動産のような特定物(不特定物については特定を生じた後)に関する物権の設定又は所有権の移転をもって双務(売買等)契約の目的としている場合は、債権者主義を採っているが(民法534条)、その他の場合は債務者主義を採っている(同法536条)。なお、実際の不動産取引の場合は、民法の規定とは逆に、特約をもって債務者主義を採っているのが一般である。
既存宅地の制度
市街化調整区域であっても市街化区域と一体的な日常生活圏を構成する一定規模以上の集落内にあり、市街化調整区域とされた時点で既に宅地になっていた土地として開発許可権者の確認(既存宅地の確認)を受けたものにおいて行う建築物の建築等について、都計法第43条に基づく許可を不要とするもの。しかし、当該制度は平成12年の都計法の改正(平成13年5月18日施行)により廃止され既存宅地において行う建築行為も都計法第43条の許可を要することとなったが、施行日前に既存宅地の確認を受けた土地又は施行の際に現に確認の申請がなされている土地においては、5年間に限り従来通り許可不要で建築することが可能である。
既存道路
建基法42条の道路のうち、同条1項3号による道路と2項による道路のことをいう。前者の道路とは、同法第3章の規定が適用されるに至った際、現に存在する道、すなわち建基法の施行時(昭和25年11月23日)に都市計画区域内に現に存在した道(後に都市計画区域内に編入された場合は、その際、現に存在する道)で幅員4m以上のものをいう。また、後者の道路とは、前者の道路と同様、同法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したものをいう。いずれも公道、私道を問わない。
2項道路
既存不適格建物
建基法の規定の施行又は改正の際すでに建っている建築物又は工事中の建築物で、当該規定に全面的に又は一部が適合していないものをいう。既存不適格建築物についでは、その適合していない規定に限り適用が除外され(同法3条2項)、そのままその存在を認められるが、一定の範囲を超える増改築等を行う場合には、同法の規定に適合するように既存の部分の手直しを行わなければならない(同法3条3項、同法86条の‐7)。
客付け
売り物件の買い顧客を見付けること。買い顧客を見付ける業者が客付け業者である。一般に業者間で使われることが多い。売主から直接依頼を受けた(元付け)業者自ら客付けをする場合と元付け業者からの物件情報に基づき、他の業者が客付けをする場合とがある。
境界
日常生活では、「境界」という用語は広く使用されているが、法的にはΓ異筆の土地の間の境界」(最判昭31.12.28)、すなわち公法上の区分線をいう。土地を所有権の目的物として登記するために、土地を人為的に区分して独立させる必要がある。不動産登記法は、土地の表示の登記において、土地を特定するため、一筆ごとに他の土地の地番と重複しない番号をもって地番を付すこととしている。この地番と地番の境が境界である。したがって同一地番の土地の中での境界は存在しない。また、相隣者間の合意のみによって、一筆の土地の境界自体は変動せず、境界を確定することはできない(最判昭42.12.26)。
業界団体
宅建業者が加盟する業者団体のこと。不動産の表示に関する公正競争規約では、広告主の所属する業界団体を広告等に表示することが必要とされている。不動産業界において、ピル業、鑑定業などを除く一般的な業者の全国組織としては、不動産協会、不動産流通経営協会、日本住宅建設産業協会、全国住宅宅地協会連合会、全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会等がある。なお、平成14年には、不動産業界に共通する重要課題を解決するために、上記の各団体を含む関係13団体により「不動産団体連合会(不動産団体連絡会を改組)」が発足した。
供託(きょうたく)
法令により金銭・有価証券又はその他の物品を供託所(法務局、地方法務局、その支局又は法務大臣の指定する法務局等の出張所)に寄託することをいう。供託原因によって分類すると次のとおり。(1)債務消滅のためにする供託(弁済供託)。一般的には、債権者の受領拒否、受領不能及ぴ債務者の過失なしに債権者を確知できないときの供託(民法494条等)。(2)債権担保のためにする供託(担保供託)。相手方に生ずる損害を担保するための供託(宅建業法25条、旅行業法7条等)。(3)単に保管を依頼するだけの供託(保管供託)。他人のものを勝手に処分できない事情があるときの供託(民法367条質権設定の際の支払いに関する供託等)。(4)その他の供託(特殊供託)。公職選挙立候補者の供託(公職選挙法92条)等。供託の方法及び場所等についでは、供託法及ぴ宅建業法等それぞれの法律で定められている。
供託所等に関する説明
宅建業者に課せられた説明義務の一つで供託してある営業保証金の還付請求等をするときの便宜を図ろうとするものである。営業保証金を供託している宅建業者(宅地建物取引業保証協会の社員以外は供託を必要とする)にあっては営業保証金を供託した供託所及びその所在地を、宅地建物取引業保証協会の会員であれぱその社員であること、当該宅地建物取引業保証協会の名称、住所及び事務所の所在地、並びにその協会が弁済業務保証金の供託をした供託所及びその所在地を、それぞれ、その相手方等に対して、契約が成立するまでの間に説明しなけれぱならない(宅建業法35条の2)。この説明は、一般に重要事項説明と併せて行われる。
共同媒介
2以上の宅建業者が一件の不動産取引を媒介することを指し、計画的あるいは偶発的・協力的あるいは競合的を問わず、事実結果としての複数業者媒介をいう。転じて特定業者が本部企業になり、他業者がその本部の代理店あるいは特約店となるパートナーシップ契約を締結し、その取り扱う全取引、あるいは一部取引をこの方式とする広域ネットワークに発展した不動産流通システムがある。これは取引態様では共同媒介であり、物件情報交換機能では流通機構である。不動産フランチャイズは、本部企業がシステム運営を担当し、ロイヤリティーを収受するが、会員業者の媒介に関与しない点で共同媒介と異なる。
共有・準共有
複数の者が一つの物の所有権を有する場合を共有、所有権以外の財産権を有する場合を準共有(民法264条)という。数人共同で、物‐を買ったり相続したりすると共有を生じ、各人はこの物の持分を有することになる。持分は合意又は法律の規定(同法900条等)で決まるが、それが明らかでない場合は均等と推定される(同法250条)。共有者は持分に応じて共有物全部の使用ができる(同法249条)。共有物の保存行為は単独でできる(同法252条ただし書)が、管理行為は過半数で決し(同法252条)、その費用は持分に応じて負担する(同法253条)。共有物全部の処分は全員一致でなけれぱならないが、持分の処分は自由である。共有物の分割は協議により(同法256条)、協議が調わないときは裁判所に請求する(同法258条)。
共用部分
区分所有を目的とされた建物のうち、専有部分以外の建物部分、専有部分に属しない建物の附属物などをいう(区分所有法2条4項)。共用部分には、法定共用部分といわれる部分、a基礎及び壁・柱等、建基法2条にいう主要構造部など、b廊下、階段室、玄関、配電室等、構造上共用とされる部分と、規約共用部分といわれる管理人室、集会室、物置、倉庫等、管理組合の規約で定められるものとがある。これら共用部分は、全区分所有者の共有に属し(同法 条1項)、その持分は専有部分の床面積の割合による(同法14条)。各共有者は共用部分を使用することができ(同法13条)、専有部分が譲渡されると、共用部分の持分もそれに従って移転する.(同法15条)。
区分所有権
居室
居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室(建基法2条4号)。居室は、採光、換気、日照等について一定の条件を満たさなければならないとされている(建基法28条以下)。
居住用財産の譲渡損失の繰越控除
租税特別措置法による課税の特例で、平成15年12月31日までの譲渡で、個人が単年通算によっても控除しきれなかった居住用財産の譲渡損失の金額を有する場合に、買換え資産(一定の居住用財産)に係る住宅借入金等を有する等一定の要件の下で、その譲渡損失の金額についでその年の翌年以後3年内の各年分(合計所得金額が3,000万円以下である年分に限る)の総所得金額等からの繰越控除を認めるとするもの(租税特別措置法41条の5)。
居住用財産の譲渡の際の課税の特例
租税特別措置法による課税の特例で、個人が居住用財産を譲渡した場合の課税の特例措置。次のものがある。(1)自己の居住用財産を譲渡した場合、その譲渡益から3,000万円を控除した,金額が課税譲渡所得金額となり、長期渡であるか、短期譲渡であるかによって、それぞれの計算方法により税額を計算する(居住用財産の3,000万円特別控除、租税特別措置法35条)。(2)譲渡した年の1月1日で、家屋と土地との所有期間がともに10年を超えているものは、譲渡益から3,000万円の特別控除をした後の課税譲渡所得金額に対して、金額に応じて税率を軽減する(特別控除、軽減税率の特例、同法35条、同法31条の3)。(3)一定の条件の下で一居住用財産の買換え・交換を行った場合、買換え資産の価額が譲渡資産の価額を上回れぱ、譲渡所得の全体に対して課税の繰延べがきれる。ただし、特定の居住用財産の買換え・交換特例は平成15年12月31日までの譲渡にしか適用されない。(相続等により取得した居用財産の買換え・交換特例、同法36条の2、同法36条の5)(特定の居住用財産の買換え・交換特例、同法36条の6)。
クーリングオフ
宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、宅建業者の事務所又はそれに準ずる場所以外の場所でなされた宅地建物の買受けの申込み又は売買契約についで、8日間以内の場合には無条件に申込みの撤回又は契約の解除ができる(宅建業法37条の2)。これをクーリング・オフという。ただし、次の場合には申込みの撤回等ができない。申込みの撤回等ができる旨等一定の事項を告げられた日から8日を経過したとき、宅地建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部が支払われたとき。申込みの撤回等の意思表示は、書面により行う必要があり、その効力は書面を発したときに生ずる。この場合、宅建業者は速やかに手付その他の受領した金銭を返還しなければならない。
区分所有権
一棟の建物に、構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所、又は倉庫、その他建物としての用途にすることができるものがあるときの、その各部分を目的とする所有権をいう(区分所有法l条、同法2条1項)。この各部分は専有部分と呼ぱれ、共用部分と区別される。専有部分についでは、一般の所有と同様に扱われるが、一棟の一部であるから共同の利益に反するような使用は許されない(同法6条)。共用部分に対しては専有部分の床面積の割合で持分を有し(同法l4条)、共同で使用する(同法}3条)。専有部分の処分は自由であるが、敷地利用権をこれと切り離すことはできず(同法22条)、共用部分の持分の処分もこれに従う(同法15条)。
区分所有建物の敷地利用権
区分所有建物の専有部分を所有するために建物の敷地を利用する権利をいう(区分所有法2条6項)。区分所有の形態には、縦割型、横割型、及び複合型があり、それによって利用権も異なることがある。.土地利用権としては、所有権が最も多いと思われるが、区分.所有者全員が敷地全部を所有する場合は、専有部分の面積に応じた持分による共有の関係を生ずる。地上権や賃借権の場合も、全員が一体として設定しているときには準共有となる。敷地利用権を有しない区分所有者に対しては、その専有部分の収去請求権者から、区分所有権の時価による売渡請求権がある(同法10条)。
グルニエ(Grenier)
屋根裏部屋のこと。元来は穀物置場を意味していた。天井が傾斜していて外気の影響が大きいため居室には適していないが、屋根の一部に窓をつけると通風、採光がよくなり、居室としても利用できる。
ケアマンション(シルバーマンション)
高齢者専用の住宅で、集合型式のもの。単身用、夫婦用などのタイプがあるが、各住戸は高齢者に配慮された設計、設備となっており、必要に応じて生活相談、介護など日常的な生活支援サービスが受けられる。高齢者の増加に伴い需要が伸びている。高齢者住宅には、住宅施策としてのシルバーハウジングやシニア住宅、福祉施策としての有料老人ホームやケアハウスなどがある。
競売(けいばい、きょうばい)
広義には、売主が多数に買受けの中出をさせ、最高価格の中出人と売買をすることをいう。不動産競売については、金銭債権の不動産に対する強制執行手続に基づくものと、担保権の実行手続に基づくものとがある。
契約の解除
民法上は、売買・贈与契約等の一時的契約と、賃貸借、雇用、委任等のように一定期間継続する契約の両方についで「契約の解除」という用語を用いているが、講学上は、売買契約等、いったん成立した契約を一方の意思表示によって、当初に遡って解消させることをいう。契約の解除は、契約締結の際、一定の事由があるとき解除を認めるという合意をしておいた場合(約定解除権)か、履行遅滞(民法541条)、履行不能(同法543条)等、法定の事由がある場合(法定解除権)でなければ、これをすることができない。解約手付、買戻しの特約のあるときも解除権の留保があったものとされる。契約解除は相手方に対する意思表示でなされるが、履行遅滞の場合にはその前に催告を要する(同法541条)。解除により各当事者は原状回復義務を負い(同法545条1項)、もし損害があれぱ賠償請求もできる(同法545条3項)。なお、賃貸借、雇用、委任等の継続的契約の解除についでは、将来に向かってのみその効力を生ずるものとされている(同法620条、同法条、同法条)。
契約の成立
契約の成立
対立当事者間に、売買、賃貸借等の法律効果を発生させるための意思表示が合致することをいう。一般的には、甲が土地を1,000万円で売りたいと乙に申し込み、乙がこれを承諾する場合のように、申込みと承諾の意思表示の合致による。申込みは必ずしも特定の人に対するものでなくてもよいが、甲が分譲住宅販売の新聞広告や折込みのチラシをしたような場合には申込みの誘引と考えられるから、契約はこれを読んだ乙からの申込みがあり、甲が承諾したとき成立することになる。契約は一般的には口約束でも成立するが、宅建業者(宅建業法34条の2、同法37条)、建設業者(建設業法19条)、貸金業者(賃金業の規制等に関する法律17条)は、契約の締結につき書面の作成交付を義務づけられている。
建築安全条例
建基法は、建築物の敷地、構造及ぴ築設備に関し、地方の気候、風土の特殊性、特殊建築物の用途・規模等により、建基法に定める規定のみでは、建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達しがたいと認める場合は、地公共団体は条例で、必要な制限を付加することができること(建基法40条)、都市計画区域、準都市計画区域及び一部の指定された区域外において、市町村は条例で、大規模の建築物の主要構造部等の規定の一部を適用しない又は制限を緩和することができること(同法41条)、特殊建築物、階数が3以上である建築物等が1,000m2を超える建築物の敷地が捜しなけれぱならない道路の幅員等についで、地方公共団体は条例で、必要な制限を付加することができること(同法43条2項)、等を定めている。これらの条例のことを一般的に建築安全条例といい、全国的に建築基準条例あるいは建築施行条例として制定されている。
建築基準法
建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めることを目的に、昭和25年に制定された法律。建築物の構造耐カの安全確保に関する基準、防火、避難に関する基準、建ぺい率、容積率、高さ等の形態に関する基準等、建築物に関する最低限の基準を定めている。また、その基準の実効性を担保するため、着工前の建築確認、工事完了後の完了検査・違反建築物の是正措置等の行政手続についで定めている。
建築条件付分譲宅地
宅地の売主又はその代理業者と購入者の間で、宅地の売買契約締結後一定期間内に、当該宅地上に建築物の請負契約を締結させることを停止条件として宅地を分譲することをいう。土地を販売するに当たり、当該土地に建物を建築すること又は当該土地の売主著しくは売主が指定する建設業者との間において、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件とするときは、当該取引の対象が土地である旨並びに当該条件の内容及び当該条件が成就しなかったときの措置の内容を明らかにして表示しない広告は、不当表示として取り扱われる。請負契約に関する協議を行わずに売主側の建物プランをそのまま押しつける方法や、建築確認後に建売住宅の売買契約に切り替える方法は、建物の請負契約が実体的に存在しない建築確認のない建売住宅の販売そのものとして宅建業法33条(広告開始時期の制限)、同法36条(契約締結等の時期の制限)等に違反するおそれがある。
建築不可
再建築又は建築が不可能な土地の売買に関する広告をする際に当該広告に記載を義務づけられている表示(不動産の表示に関する公正競争規約10条)。建基法42条に規定する道路に2m以上接していない土地及び同法43条2項の規定に基づき地方公共団体の条例により付加された敷地の形態に対する制限に適合しない土地についで広告する際は、「再建築不可」又はF建築不可」と表示しなけれぱならない。また、市街化調整区域内に所在する土地については、「市街化調整区域。宅地の造成及び建物の建築はできません。」と16ポイント以上の大きさの文字で表示しなけれぱならない。ただし、開発許可を受けた土地等はこの限りではない。
建築物の耐震改修の促進に関する法律
阪神・淡路大震災において、特に昭和56年以前に建築された現行の耐震基準を満たさない建築物の被害が顕著だったことから、現行の耐震基準に適合しない建築物の耐震改修を推進することを目的として、平成8年4月1日に施行された法律。(1)多数の者が利用する一定規模以上の建基法上の既存不適格建築物(特定建築物)の所有者は耐震診断、耐震改修に努めること、(2)建築物の耐震改修計画についで、所管行政庁に認定申請ができ、認定を受けて住宅の耐震改修を行う者には住宅金融公庫の融資条件の緩和を行うこと等が規定されている。
建築物の高さの制限
都市計画区域及び準都市計画区域内において、建築物はその存する地域地区等に応じて、以下のような高さの制限を受ける。(1)第1種低居住居専用地域又は第2種低居住居専用地域内の建築物の絶対高さ制限(10メートル又は12メートル)(建基法55条)、(2)道路高さ制限、隣地高さ制限、北側高さ制限(同法56条)、(3)日影による中高層の建築物の高さの制限(同法56条の2)、(4)高度地区内の建築物の高さの制限(都市計画で建築物の最高限度又は最低限度が定められる)(同法58条)。
建築物の延べ面積
建築物の各階の床面積の合計のこと。ただし、建基法52条1項に規定する延べ面積(建築物の容積率の最低限度に関する規制に係る当該容積率の算定の基礎となる延べ面積を除く。)には、自動車車庫その他の専ら自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設(誘導車路、操車場所及び乗降場を含む)の用途に供する部分の床面積を算入しない(建基法施行令2条1項4号)。ここで、床面積とは、建築物の各階又はその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいう(同法施行令2条1項3号)。
建築面積
建築物が敷地を覆っている面積。建築物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいう。ただし、地階で地盤面上1m以下にある部分は、算定対象から除かれる。また、軒、庇、はね出し縁等がある場合で、外壁や柱の中心線からlm以上突き出ている場合には、その先端から1mまでの部分は、建築面積には算入されない(建基法施行令2条1項2号)。
建ぺい率
建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(建築面積÷敷地面積)をいう。建築物の敷地内に一定割合以上の空地を確保することにより、建築物の日照、通風、防火、避難等を確保するため、都市計画区域及び準都市計画区域内にぉいては用途地域の種別、建築物の構造等により、その最高限度が表のように制限されている(建基法53条)。次頁表参照。
権利金
借地権、借家権の設定又は移転に伴い、その対価として賃料以外に授受される金銭をいう。借地借家法の適用を受ける借地権、借家権、とりわけ旧借地法の適用を受ける堅固な建物所有を目的とする借地権は、法律上強い保護を受け、かつ、長期間存続するために土地所有権(底地権)とは別個の財産権のように取り扱われ、その設定(借地契約)に当たっては、更地価格に対して一定割合(地域によって異なるが、概ね70%程度)の金員(権利金)が授受される。このような借地権は譲渡が行われても旧借地法が継続して適用されるので、譲渡に際してもその対価として権利金が授受される。借家の場合にも、礼金等同様のものがある。このほか権利金には、賃料の一括前払いの性格を持つもの、特に借家の場合に什器備品等を含めた営業権又はのれんの対価とされるものがある。
権利証
権利に関する登記済証のことを略して権利証という。広義には登記所から登記済みの証明として交付を受けたすべての書面を登記済証というが、権利に関する登記済証とは、登記名義人がその権利を保存、設定、移転等により取得した登記の際、登記所から登記済みの証明として交付を受けた書面をいう(不動産登記法60条)。当該権利の登記名義人たることを表象する書面であり、その人が将来登記義務者として登記申請する場合には、その申請意思の担保として添付を要求される(同法35条1項3号)。もし登記済証が滅失又は紛失したときは保証書によることになる(同法44条)。なお、所有権の登記ある不動産についでの合筆、合併登記の登記済証は、その権利に関する登記済証として扱われる(同法60条1項)。
公示価格
地価公示法に基づき、土地鑑定委員会が、毎年1回公示する、一定の基準日における標準地の価格のこと。都市計画区域内で標準的な土地(標準地)を選定し、当該標準地について2人以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を判定して公示するものである。例年1月1日現在の価格が3月下旬に公示される。公共事業の施行者が土地の取得価格を決める場合や国土法による土地取引規制における価格審査においてはこれを規準として行うべきこととされている。なお、地価公示価格の動向については、前年と継続する標準地の価格の上昇又は下落の率を意味する変動率が使用される。
更新料
借地借家契約の更新に伴って、賃借人から賃貸人に対して支払われる金銭をいう。借地権又は借家権が期間満了によって消滅しても、賃貸人に正当の事由がなけれぱ契約の更新を拒絶し、土地又は建物の返還を求められないため、賃貸人の要求により、更新料が支払われることが多い。問題は、特段の合意がない場合でも、賃貸人にその請求権があるかであり、これを肯定する説もないではないが、判例(最判昭51.10.1)は、商慣習ないし事実たる慣習として更新料の請求権があるという賃貸人の主張を認めず、通説も同様に解している。なお、更新料の支払につき合意があり、それが賃料の支払と同様に更新後の賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、契約当事者の信頼関係を維持する基盤をなしている場合には、その不払は、その基盤を失わせる著しい背信行為として賃貸借契約の解除原因となり得るとする判例(最判昭59.4.20)もある。
公正証書
公証人が私人の法律行為その他私権に関する事実について作成する証書をいう(公証人法1条)。公正証書は、公証人の面前において嘱託人がした陳述又は金銭の授受などの行為を、公証人が聴取又は目撃して作成する(同法35条)。公正証書は、訴訟手続上強い証明力を有し(民事訴訟法228条2項)、債権譲渡などでは確定日付のある文書とされ(民法467条2項、民法施行法5条1項1号)、遺言についでは家庭裁判所での検認の手続が不要とされ(民法969条、同法1004条2項)、さらに金銭の支払についでの公正証書で債務者が執行を受諾する旨の文言のあるもの(執行証書)は、債務名義として債務者の財産を差し押さえたりすることにも利用される(民事執行法22条5号)。
公租公課の起算日
不動産の売買に際しては毎年継続的に賦課される固定資産税、都市計画税を売主、買主がどのように分担するかという問題が生じるが、その負担額を算出する基礎となる日がいわゆる公租公課の起算日である。固定資産税、都市計画税は毎年1月l日の登記名義人に対して課せられるのであるから、税の分担については1月l日を起算日とするのが正しいとする暦年方式説(1月1日説)と1月1日はあくまで税の賦課期日にすぎず、課税対象期間は4月l日から翌年3月末日までと解釈するのが正当であり、したがって4月1日を起算日とすべきだとする年度方式説(4月1日説)の2説がある。
公道
一般に国や地方公共団体等の公的主体が一般交通の用に供する道路をいう。道路法にいう高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道は公道の典型的なものである。なお、道路運送法上の自動車道(一般自動車道と専用自動車道)、土地改良法に基づく農業用道路、森林法に基づく林道(国有林林道と民有林林道)等は、その開設・維持・管理等についで公法的な保護・助成が受けられる半面、特殊な規制が加えられ、その所有者の自由な処分は許されていないので、これらは、私道というよりは公道としての性格の強い道路といえよう。
私道
公募売買・実測売買
土地の売買に関する契約方式。公簿売買方式とは土地登記簿の表示面積により売買代金‐を確定し、以後その金額を変更しない方式、実測売買方式とは契約時に実際の面積を測量し、その面積に基づいた金額によって売買する方式である・暫定的に登記簿の面積により売買を行い、後に実測した面積との差を清算する方式もとられているが、実務上はこれも実測売買に含まれると解されている。一般に山林手農地めような広大な土地の売買はほとんど公簿声買によつて行われているが、地域によつては宅地売買において公簿方式をとる例も多い。しかし、個人の住宅地の場合は売主、買主の公平を期する観から実測売買とする契約が増えている。
高齢者円滑入居賃貸住宅
高齢者の入居を受け入れることとしている賃貸住宅で、都道府県知事の登録を受けた建築物のこと(高齢者居住法4条)。登録を受けた賃貸住宅は、高齢者居住支援センター(・高齢者住宅財団が指定されている)が行う入居高齢者の家賃債務保証を受けることができ(同法11条)、登録簿は一般の閲覧に供される(同法9条)。
高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者居住法)
優良な高齢者向け住宅の効率的な供給を促進し、高齢者が安心して生活できる住環境を実現することを目的として平成13年10月1日に施行された法律。略して高齢者居住法ということも多い。バリアフリー化された賃貸住宅への国及び地方公共団体等による補助制度、終身建物賃貸借制度、高齢者の入居を拒まない住宅の情報を広く提供するための制度及び高齢者の既存持家をバリアフリー化するための支援制度等の整備・導入が図られた。
高齢者向け優良賃貸住宅
優良な高齢者向け住宅の効率的な供給を促進し、高齢者が安心して生活できる住環境を実現することを目的として平成13年10月1日に施行された法律。略して高齢者居住法ということも多い。バリアフリー化された賃貸住宅への国及び地方公共団体等による補助制度、終身建物賃貸借制度、高齢者の入居を拒まない住宅の情報を広く提供するための制度及び高齢者の既存持家をバリアフリー化するための支援制度等の整備・導入が図られた。
コーポラティブ方式
組合方式ともいわれる。2人以上の特定の者が協同して敷地の取得、建物の企画設計、建築工事の発注等を自力で行い、‐住宅(主に集合住宅)を取得する方式。最近では、建築士又は不動産業者等が住宅建設組合の設立を企画し、不特定多数の需要者の中から参加者を募り、企画者が敷地の購入の斡旋、建物の企画・設計に対する助言、または設計等の請負等を行うものが多くなってきている。米国のコーポララティブ・アパートメントと異なり、各需要者が個々の住戸を区分所有する。
国土利用計画法
国土利用計画の策定に関し、必要な事項を定め、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他の土地利用を調整するための措置を講ずることを目的に昭和49年に制定された法律。都道府県知事は、都市計画区域のうち、土地の投機的取引が集中して行われ、地価が急激に上昇する区域等を規制区域として指定すること(12条)、規制区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事の許可を受けなければならないこと(14条1項)、一定規模以上の土地(市街化区域2,000m2以上、その他の都市計画区域5,000m2以上、その他の地域10,000m2以上)の売買等の契約を締結した場合には、権利取得者は、その契約を締結した日から2週間以内に都道府県知事に届け出なけれぱならないこと(23条1項)、都道府県知事は、地価が一定の期間内に国土交通大臣が定める基準を超えて上昇する区域等を注視区域として、地価が急激に上昇し合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を監視区域として、指定することができること(27条の3、27条の6)、注視区域内及び監視区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事に届出をしなけれぱならないこと、届出をした者は、6週間を経過する日までの間は売買等の契約を締結してはならないこと(27条の4第1項、27条の4第3項、27条の7第1項で準用する場合)等を定めている。注視区域、監視区域の指定は都道府県で確認することができる。
固定資産税
1月1日現在(賦課期日)に、固定資産課税台帳、又は補充課税台帳に登録された一定の土地、家屋、償却資産の所有者に課税される市(区)町村税(都税)である。課税標準は、3年にl度の基準年度ごとに改訂し、第2又は第3年度については比単価格で課税される。納税は普通徴収で4期分納である。